カテゴリー「欧州経済財政危機」の7件の記事

2012年10月29日 (月)

2008年国際金融経済危機の原因とカンヌG20以降の新たな争点

 もう1月も前のこととなりますが、2012年09月23日に、金融労働研究ネットワーク研究会というところで、研究発表の場をいただきました。レジュメはパワーポイントで作りました。論考に纏めたいという気持ちもあったのですが、今回はパワーポイント版のままレジュメを改定するにとどめました。文章中心のブログ記事ですが表と文章には大分違いが出て来ます。表形式の方が分かりやすい項目も出てくるでしょう。

 テーマと目次は以下の通りです。 各項目A4サイズ1頁ですので、表紙を入れて7頁の小論です。

《2008年国際金経済危機の原因と、カンヌG20以降の新たな争点》
 ①「財政健全化」の名の下での新自由主義の復活
 ②戦後の国際金融通貨制度の変遷
 ③今回の危機の源に対するスティグリッツの視点
 ④カンヌG20の残した課題…新たな争点
 ⑤歪みのない世界への指針…スティグリッツの政策提案
 付、欧州財政通貨危機をどう見るか。

「スティグリッツ国連報告」の翻訳を出版したのが2011年1月、続いてサルコジ仏大統領へのカンヌG20についての諮問回答の翻訳を5月にぶログに掲載、2012年1月に「経済2012年2月号に論考「G20とスティグリッツの戦略」を掲載してきました。そしてカンヌG20を一つのピークにギリシャ財務金融危機が欧州危機に拡大してくる中で、財政健全化のための緊縮政策の名の下に新自由主義の復活してくる姿を見出し、日本における消費税引き上げの動きと合わせ批判を強めてきました。本件レジュメは、これらの問題を事項別にまとめたものと言えます。スティグリッツの考え方を整理してみようとする方にお役立ちできると思います。また、今回の危機の仕組みへの理解、危機への対策の指針を得られるのではないでしょうか。

 パワーポイント・PDF → 「2008nen-kokusaikinnyuutuukakikinogenninnto-kannuG20-ikouno-aratanasoutenkaiteiban.pdf」をダウンロード

以上、

森史朗(和泉通信ブログ) 2012/10/29

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2012年10月19日 (金)

「緊縮政策」―新自由主義復活への新たな策動

 市民の経済学を目指すという方針を掲げ、京都に本部を置く基礎経済科学研究所という学会があります。研究会の開催の他、書籍の発行、年3回の機関誌の発行を行なっています。今回、その機関誌「経済科学通信第129号」に私の小論が掲載されましたので、ご紹介いたします。欧州の経済財政危機について、7月半ばに書いたものですが、論点は有効だと思います。目次は以下の通りです。文章はA4サイズで3ページと短く、纏められています。尚、小論は、「NEWSを読み解く」という欄の、頁では7-10ページに掲載されています(雑誌全文129頁)。本文は、以下をクリックしてPDF文書をアップロードしてください。

本文ダウンロード → 「kinsyukuseisaku-kisoken-saisyuukou.pdf」をダウンロード

《緊縮政策》ー新自由主義復活への新たな策動

Ⅰ「緊縮政策」ー新自由主義の復活
Ⅱ緊縮政策推進政権の敗北
Ⅲ長期化する雇用情勢の悪化
Ⅳユーロ圏内収支不均衡問題をどう解決していくか
Ⅴ様々な緊縮政策批判
 (1)スティグリッツ
 (2)サマーズ
 (3)ILO
Ⅵ消費税増税は日本の緊縮政策である

 以上、

森史朗、2012/10/19

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2012年10月16日 (火)

ノーベル平和賞受賞に応えるために・・・EUの課題

①欧州連合のどこが評価されたのか?:欧州に「平和と民主主義」を実現
 この12日(2012年10月12日)、今年のノーベル平和賞が欧州連合(EU)に与えられることとなったことが、ノルウェーノーベル委員会から発表された。国際機関への授与は、2000年代に入ってからの2001年の国際連合、2005年の国際原子力機関、2007年の気候変動に関する政府間パネルを始め、古くは1904年の万国国際法学会等いくつかあるが、地域連合、地域共同体への授与は初めてのこととなる。ノーベル委員会のプレスリリースによると、今回の欧州連合への授与は、欧州連合とその先駆者による60年を超える欧州での平和と和解、民主主義と人権の推進への貢献を顕彰するものであるという。大戦間時代を含め、ノーベル委員会としても独仏間の和解に努力してきたが、1945年以来それはようやく実現し、今日、独仏間の戦争はまったく考えられなくなったと評価する。その他にも、1970年代にはポルトガル、スペイン、ギリシャに、1990年代には旧ソビエトブロックに生まれたばかりの「民主主義」を守り、バルカンに「安定」をもたらした。これらについての個々の評価には留保すべき点があるとしても、戦前の敵対国との間にも共通市場を開き、国家連合まで形成している欧州と、近隣諸国の間の紛争の絶えない北東アジアの近況を比較した場合EUの優位性を認めざるを得ない。

②軍事的紛争を回避するという政治的意識の強い課題を持った欧州連合
 その争奪が戦争の原因の一つともなった石炭鉄鋼の共同管理化が、ベネルックス三国、西独、フランス、イタリアの六カ国でスタートしたのが1952年、現時点での加盟国数は2007年1月ブルガリアとルーマニアの加盟により、27カ国となった。2002年には共通通貨ユーロへの移行が行われ、17加盟国が移行している。確かにこれらは欧州統合の確実な発展を示すものである。と同時に、こうしたEUの発展経緯を見ると、その目的が経済的なものであると同時に、、思った以上に安全保障体制の確立を強く意識したものであることに気付かされる。

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2012年6月24日 (日)

フランスとギリシャでの総選挙結果と欧州支配勢力の対応

《 欧州と日本に見る緊縮政策の罠 補論1 》
和泉通信ブログ 森 史朗2012/06/24


《 目 次 》
1.フランスとギリシャでの総選挙結果と欧州支配勢力の対応
①ギリシャ再総選挙
②フランス国民議会
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1.フランスとギリシャでの総選挙結果と欧州支配勢力の対応
 欧州財政危機の行方に大きな影響をあたえるものとして世界の注目を集めていた二つの国での総選挙が6月17日終わった。不況期の緊縮政策をやむを得ないものとして受け入れてゆくのか、不況期の緊縮政策は不況を長引かせ、かえって経済危機を深める誤った政策であるとして緊縮政策からの転換を求めていくのかが両国国民に問われる選挙であった。そして彼等の打ち出した方向は、緊縮政策からの脱却であった。
 私は、《欧州と日本に見る緊縮政策の罠》という2012/05/24付け論考で、欧州通貨問題の枠組みを検討してみたが、今日もその枠組はなお有効だと考えている。しかし、情勢は時事進行していることから、今回は前論考の「2.緊縮政策推進政権の敗北」の部分を補充する観点からギリシャとフランスでの総選挙結果を追記した。勿論、独立したものとしても読んでいただけるが、前論考を未読であれば、是非それも読んでいただきたいと思う。

①ギリシャ再総選挙
20120621_3

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2012年5月29日 (火)

欧州と日本に見る緊縮政策の罠

 欧州危機の問題を考えてみました。皆さんがお考えになっていく上でもご参考にしていただければと思います。
 ブログ本体には最初と最後の章と目次だけ掲載し、全文はPDFにして掲載してあります。

《 目 次 》
1.緊縮政策による、新自由主義の復活
2.緊縮政策推進政権の敗北
3.長期化する雇用情勢の悪化
4.ユーロ圏内収支不均衡問題をどう解決していくか
5.トロイカ体制…公的資金支援体制
6.様々な緊縮政策批判
 ①スティグリッツ…国際収支の不均衡の反循環的調整が不可欠
 ②サマーズ…緊縮政策が景気回復を妨げる
 ③ILO…緊縮政策の罠
7.消費税増税は日本の緊縮政策である
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→ 「kinsyukukeizaino_wana.pdf」をダウンロード

1.緊縮政策による、新自由主義の復活
 2008年9月のリーマンショック以来批判の的となりG20等でも一時鳴りをひそめていた「新自由主義」であったが、昨年10月のギリシャ・ユーロ危機を機に、当事国の自己責任を追求する形で急速に復活してきた。伏線は2010年6月の第4回トロント金融サミットで張られていた。2009年4月のロンドン金融サミット後、今までにない規模で取り組まれた景気刺激政策が不況からの脱出感をもたらしてくる中、景気刺激策からの出口政策が課題視され、「先進国は、2013年までに少なくとも赤字を半減させ、2016年までに政府債務の対GDP比を安定化または低下させる財政計画にコミットした」との合意が書き込まれていたのである。( )
 「新自由主義」は、市場の自己修正力、競争による効率の向上、トリクルダウンによる成長への機会の共有等、合理主義的考え方が強調されてきたのに対し、今回は、人々の消費―生産、借入―返済、という循環での当事者責任を追求する強面顔で登場してきた。育児、介護、病気・事故・貧困といったものについても少子高齢化を口実に自己責任による自助を要求する形で、社会福祉での自己負担を拡大しようとしている。為替政策、国際収支調整政策においても、自国の利益を「防衛」するための近隣窮乏化策が人々の非合理な不安、恐怖に依拠して誘導されてきた。ギリシャ国債デフォルト危機に際しては、欧州ユーロ圏全体としてユーロ売りが進み、ギリシャのユーロ圏離脱か、緊縮政策への取り組みか、二者択一の問題であるかの如く、姿勢を問われたのである。市場は通貨・国債投機筋の暗躍で荒れ、時代は緊縮政策の時代に入ったかに見えた。しかし今日、時代は一方向に一方的に流れるものではなく、相反する流れが複雑に絡み合いせめぎ合う時代になってきているのだ。現に緊縮政策を推進してきた政権は2011年11月のG20以降政治的な敗北を強いられてきている。

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2012年3月23日 (金)

ギリシャのデフォルトリスクは回避したが、問われる実体経済の動向…所得格差縮小の経済政策を

 ここのところ各国の株価が上昇してきています。特に欧米及び日本の株価が順調です。一般には、ギリシャ財政危機を始めとする欧州財政危機・ユーロ危機の危機打開への道筋が見えてきたこと、日米の経済指標に改善が見られたこと、が要因として挙げられています。しかし、戻り歩調は一本調子ではなく、ひきつづき警戒感は払拭できないでいます。
 3月20日は、ギリシャ国債が、大量償還を迎える日として注目されていました。償還額は145 億ユーロ(約1兆6千億円)で、元本の70%は、ヘアーカットされました。民間銀行の足並みが揃うのかが心配されていましたが、それらは杞憂に終わったようです。
こうして、ギリシャの第2次支援策はイベントリストとしての、ギリシャ国債デフォルトは抑えこむことができました。しかしこれからは、実体経済の動向が問われてくるでしょう。例えば、ギリシャでは、緊縮経済によって財政再建を急速に進めてゆくことが求められます。2020年の債務残高GDP比率を120.5%まで圧縮することが求められているのです。最近の同計数は159.1%(2011年9月末)です。失業率は、公務員の削減、消費の縮小等により景気後退が進み失業者は19%を超え、青年の失業率は48%にのぼります。
 2月22日のしんぶん赤旗主張「ギリシャ追加支援決定」は、「危機に直面した国に責任を追わせるやり方は限界だ。ギリシャはマイナス成長が連続3年を超えている。これでは債務残高の圧縮も進まない。」と主張し「ユーロ危機の基本要因として、元々輸出力の強いドイツなどととの間にある構造的な不均衡が指摘されてきた。しかし、単一通貨のもとでは為替レートで不均衡を調整することができない。ドイツは経済力に相応しい負担を分担すべき特別な役割を持っている。」としています。そして、結論として、「欧州の統合は元々、欧州の平和を確保するために構想、推進されてきた。ユーロ危機を乗り越える上でも、統合に向けた協力のあり方が問われている。」と、欧州統合強化の方向で英独仏といった大国が、積極的に負担を負ってゆくことを求めています。とかく議論がギリシャ・南欧のユーロ離脱、或いはユーロ解体に話題が向き、財政脆弱国の自己責任が問われる中にあってユーロ財政問題の正鵠を射るものとなっていました。

 ギリシャ追加支援決定の報を受けて、同様の見解を示したのは、2月23日付の中国新聞社説でした。

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2011年8月30日 (火)

「スティグリッツ国連報告」から「パリグループ提言」へ…転換点にあるG20とスティグリッツの戦略

8月20日、ATTAC Japan 通貨取引税部会主催の講演会に招かれ講演をしました。個人的には、要領の悪いもので、反省の気持ちが残ってしまいました。しかし、質疑では時事問題から理論問題まで興味深い討議ができました。

さて、ここに掲載した講演録は、講演の下書きに加除訂正を加えたものです。
2-②「G20に求められる時代」…G20の課題を考える
2-③「スティグリッツの戦略」
11ー「今回の危機に本当に対応することとは」といった新しいテーマに取り組み、スティグリッツの考え方をまとめたものとしては、自分としては、最も整理されたものになっています。以下、目次だけ表示し、本文は添付ファイルを開いてください。

添付ファイルを開く → 「attac.pdf」をダウンロード


《「スティグリッツ国連報告」から「パリグループ提言」へ
…転換点にあるG20とスティグリッツの戦略》
《目次》
1.「スティグリッツ国連専門家委員会」、「パリグループ」とは?
①一連の国連開発会議とスティグリッツ国連専門家委員会
②第二次大戦後国際金融制度の変遷…G20まで
③2011年カンヌG20とパリグループへの諮問
2.国連報告、パリグループのG20への評価と、G20への危機意識
①スティグリッツ国連報告とパリグループ提言でのG20への評価
②G20に求められる「時代」
③スティグリッツの戦略
④効率性に裏打ちされた倫理観
3.効率の良いグローバルな利益の実現と、新自由主義批判
  ①効率の良いグローバルな利益の実現
  ②スティグリッツとパリグループの新自由主義批判
4.世界総需要のマイナス要因となる所得格差と、外貨準備高需要
5.貯蓄と高成長分野との間の資金循環の重要性
6.G20は国際通貨金融システムの包括的見直しを開始すべきである
①《国際通貨金融制度改革への強い意欲》
②国際通貨金融制度改革についてのスティグリッツの主張
7.経済実績と社会発展についての適切な尺度による評価と実行
8.進んだ金融部門改革
9.開発計画
10.グローバルガバナンスの改革
11.今回の危機に本当に対応することとは

以上

森 史朗  2011/08/30

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