カテゴリー「スティグリッツ国連報告」の39件の記事

2011年8月12日 (金)

新自由主義化へのシフトが進む昨今の国際経済・・・しかしそれでは危機は解決できない

和泉通信の森です。今回は、昨今の為替市場の混乱に見られる新自由主義の復活と講演会の再度のご案内です。

《新自由主義化へのシフトが進む昨今の国際経済
      ・・・しかしそれでは危機は解決できない》

①2009年4月ロンドンG20から2011年11月カンヌG20へ
南欧諸国の国債発行での合意成立、米国での国債発行額上限法案の成立により一時収まるかに見えたマーケットが一向に落ち着きを見せない。2009年に景気が回復傾向を見せるや、2008年から2009年にかけての景気刺激政策で、見事な協調を見せた国々が今や、お互いを引っ張り合っている。階層間の負担をめぐる抗争の強まり、公債の増加に対する持続可能性への懸念増大を主な要因に政策が内向きになってきているのである。2009年4月のロンドンG20の時には影に隠れていた新自由主義であるが、最近大きく復活してきている。フィトゥッシ、スティグリッツから提言を得たサルコジ大統領だが、自らが新自由主義を払拭できるかが問われている。

②米国国債発行額上限法案
米国では、国民健保給付削減等の政府支出の削減を求める共和党と、富裕層向け減税打ち切りによる増税を主張する民主党の間の米国債のデフォルトを賭けての構想は、2兆1000億ドルの増加という双方の妥協に一段落したが、今後十年間に1兆ドルの財政赤字削減が求められており、本題は先送りされているに過ぎない。議会での劣勢を背景に新自由主義的政策を強いられた形である。一方で、米国は、QE3(量的緩和政策第3弾)まではゆかなかったが、2013年までのゼロ金利策を決め、過剰流動性をつくりだしている。国債の格付け引き下げまでされた国が金融緩和策をとれるというのは基軸通貨国故であろう。

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2011年8月 3日 (水)

8月20日、ATTAC Japan 通貨取引税部会主催の講演会で講演します

 日本は原発事故の解決と大震災からの復興が遅れ、遅れた分だけ被害も膨らんでいるという状況にあり、加えて政局が流動化し、問題解決の一層の遅れが必至となってきました。特に原発をめぐる事故は、事故や被害の全容の把握が難しく、原子力エネルギーの恐ろしさを示しました。こうして、ややもすると目が国内に向き勝ちになってしまうのですが、世界経済の動きも荒れています。

 北欧の一部及び南欧全般での公的債務危機、米国債務上限法案をめぐっての米国によるデフォールトのリスクを賭けた政争(現地7/31にようやく両院指導部の間で合意が成立したとの報が流れましたが、今後も格下げ等がガ予想されえます)等により、ユーロ安、米ドル安が続き、相対的円高現象が起こっています。投機家に格好のカジノが与えられたのです。競争的為替切り下げ政策が導入されているかの如き状況下、日本はもっと円安レベルでの為替相場の安定を主張しなければならない時です。このような状況を無策のまま放置しておくことは、震災/原発事故からの復興計画への障害を放置することになります。勿論円高を積極的に歓迎して対応して行く政策もありますが、今の日本には、何を目指してゆくのか政策が見えません。

 スティグリッツは、「国連報告」で、国際収支を安定させること、国内外での所得格差を縮小してゆくことにより世界総需要を拡大してゆくことが、2008年来の金融経済危機解決への道であると主張しました。そして、かつて「もっと働き、もっと稼ごう」をモットーとした新自由主義者として知られているサルコジ大統領が、スティグリッツを、今年のG20の為諮問委員会議長二人のうちの一人に選んだのです。もう一人のフィトゥッシ議長も「国連専門家委員会」のメンバーでした。

 今、この時点で危機の原因と対策を見直してみることは単に震災復興の為だけでなく、日本全体の経済政策を検討してゆく上で有効なことと思われます。

 そこで、8月20日(土)、13:30 - 17:00の予定で講演会を行うことにしました。
 会場は、文京シビックセンター地下一階アカデミー文京学習室(東京都文京区春日1-16-21)
 交通最寄り駅:都営大江戸線春日駅、丸ノ内線後楽園駅、南北線後楽園駅、各駅よりすぐ。
 参加費:500円
→ 「0820.pdf」(チラシ)をダウンロード

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2011年7月25日 (月)

半澤さんの書評を受けて…「スティグリッツ国連報告」を国際金融制度史の中で

 いつも、興味深い記事を掲載されているブログ、「リベラル21」が、「スティグリッツ国連報告」の書評を掲載して下さいました。スティグリッツに対する批判も示され、皆さんにも有意義なものに思われました。評者の半澤さんのご意見を補強したり、一部誤解に反論したりした返書を出させて頂きました。書評と返書の双方を読んでいただければ幸いです。

→ 2011.07.24 『スティグリッツ国連報告』―反・市場原理主義で世界金融を分析すれば―


半澤健市様(「リベラル21」のコメント欄に打ったもの)

 この度は、拙訳の「スティグリッツ国連報告」に対し適切なご批判を含む書評をいただき、ありがとうございました。ご批判の中で、「『無い物ねだり』という批判を承知の上でいう。この報告書には、世界経済への『歴史的視点』が完全に欠落している。現行制度の欠点や経済『理論』と『政策』の失敗を、率直に認めていながら、その由来には決して言及しない。」とのご指摘は正鵠を得たものと考えています。私もこの一月程、スティグリッツの論理を戦後世界経済史の中に位置づけようとしてきました。図表も入るので、詳細は本日(7/25)掲載予定の「和泉通信ブログ」をご覧いただければと思います。
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《第二次大戦後国際金融制度の変遷…G20まで》

 「dai2jitaisengo_kokusaikinyuseido_hensen.pdf」をダウンロード

 《表1-②.第二次大戦後国際金融制度の変遷…・G20まで》は、国際準備通貨制度を中心に国際金融制度の変遷を整理したものである。資本主義経済は戦後拡大したルーブル経済圏との対抗圏として特別な役割を果たした。ブレトンウッズ体制は、米国の圧倒的な経済力に依存した体制だった。戦災被害が小さかった上、フォーディズムのような生産性の高い生産力を持ち、米国は欧州やアジアの資本主義経済の戦後復興支援と、健全な経常収支維持の双方を可能にした。制度的には、金米ドル為替本位制固定相場であった。

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2011年3月 9日 (水)

「スティグリッツ国連報告」が、しんぶん赤旗の読書欄で採り上げられました

 先日、週刊ダイヤモンド2月26日号に「スティグリッツ国連報告」の書評が掲載されたことをご案内しましたが、今度は「しんぶん赤旗」の読書欄(毎週日曜日8-9面見開き)の「レーダー」の欄で紹介されました。

 短評ですが、的確に本の内容を紹介しています。週刊ダイヤモンドでの書評と併せて、少しでも多くの皆さんの目にとめていただきたいと思います。

文章は下記のとおりです。

「レーダー」2011/03/06
世界経済危機を問う国連報告の翻訳
国連総会議長の諮問を受けた、経済学者J・スティグリッツを委員長とする専門家委員会報告の翻訳『スティグリッツ国連報告』(森史朗訳、水山産業株式会社出版部☎078・577・3070、1333円)が出ました。米国発の経済危機に責任のない途上国が『最も悲惨』な目にあったと告発し、決定は一握りの国々でなく「G192」によるべきだと述べています。

以上、

森 史朗 2011/03/09

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2011年2月26日 (土)

「スティグリッツ国連報告」が、週刊ダイヤモンドの書評欄で採り上げられました

「スティグリッツ国連報告」は現在20書店強で販売されていますが、同書が週刊ダイヤモンドの今週号(2月26日号)の書評欄に採り上げられました。短い書評ですが、「その志と勇気に拍手を贈りたい一冊です」と三冊のうちのトップで紹介されています。週刊ダイヤモンドのホームページに紹介があります。
→ 《目利きのお気に入り》「危機は誤った公共政策の結果…弾劾するスティグリッツの志」

そこでは最後の部分がカットされていますが、以下の短い文章が続きます。
「…包括的な対策を示します。当然、米国政府は無視し、マスコミも大きくは取り上げません。」

尚、評者は、丸善丸の内本店「松丸本舗」売り場長宮野源太郎氏。

これを機会に、少しでも多くのひとに見ていただきたいと願っています。

森 史朗「和泉通信」 2011/02/26

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2011年1月13日 (木)

「スティグリッツ国連報告」正誤表及び追加説明一欄(2011/04/18現在)

 最初の本を発送してから半月が経ちました。この間に熱心な読者から翻訳の誤りのご指摘、改善のためのご提案をいただきました。今回はその検討の結果を掲載します。たくさんの誤りが指摘されるのは、恥ずかしいことですが、誤りが読者に早く連絡され、お読みいただく上でつまずきが無くなることは本書の普及に取って重要です。皆さんもこの本が普及するよう願っていて下さいました。今後も、新しい発見があれば追記してゆくこととします。
 1/09第1回改訂
2/23第2回改訂(第二章、45、52,56,60,82,94,95,116項を訂正しました。)
  3/05第3回改訂(第三章、6..33.51.58.65.71.91項を訂正しました。)
  4/18第4回改訂(第三章、96.111.112.115.149.161.162.163.194項を訂正しました。)
10/17第5回訂正(第五章、56項を訂正しました。)

以上、

森 史朗 2011/01/09(ブログ掲載日:2011/01/13)

P.S. 引用した文の中の問題となっている部分に下線を引きました。(2011/01/17-18に追記)

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2010年12月25日 (土)

書籍『スティグリッツ国連報告』の発注方法

【内容紹介】

国連総会議長諮問による
J.E.スティグリッツを委員長とする
国際通貨金融システム改革についての
専門家委員会 (著)
森 史朗 (翻訳)

スティグリッツ委員会の国連報告を翻訳した本です。
 ・マクロ経済問題と視点
 ・国際的規制改革により世界経済の安定性を高める
 ・国際機関
 ・国際金融の革新

 A5版/ソフトカバー/272頁。


【価格】

1,400円(本体価格1,333円+税金)

【発送方法とお支払い条件】

訳者宛に直接発注された方には郵送料は無料、郵便為替手数料は訳者の負担とさせて頂きます。
ご注文を頂き次第クロネコヤマトメール便を利用して送付致します。代金は書籍をお受取りしだいお支払い手続きください。

【発送までの日程】

ご注文に不明な点がなければ、午前中受注分は当日発送致します。クロネコメール便の配達は、発送日を含めて地域により3-4日を要します。但し、ご注文が4部以上の場合は、宅急便にて送付します。

【発注方法】

(A)メールによる方法:
  s2mori@live.jp 宛まで下記情報を記載した上メールをお送り下さい。

(B)ファックスによる方法
  FAX番号: 03-6383-3133

メール・ファックス共に件名は『スティグリッツ国連報告の注文』でお願いいたします。

①受取先の郵便番号、住所
②受取人氏名
③発注者電話番号
④発注部数
⑤発注者住所・氏名と受取先住所・氏名が異なる場合はお支払いをする方の住所・氏名を明記してください。
本を発送したときに請求書を別途郵送致します。

【その他の書店での取り扱い】
ネットショップ「アマゾン」が郵送料無料で取り扱っています。(ほぼ常時在庫を置いていますが、必ず画面を最新に更新して在庫を確認してください。)
友好堂神保町書店(千代田区神保町1-14 電話03-3291-1181)が常時店頭に置いております。

以上

森 史朗、

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2010年12月11日 (土)

スティグリッツ国連報告(通読版2010/12改訳)目次

 ここに「通読版(2010/12月改訳)」と称するものを章毎に再掲載したのは、「スティグリッツ国連報告」出版に当たって、誤訳の訂正も含め、かなりの書き換えを行ったからです。とは言え、多くの書き換えは、訳註を積極的に行い文章を理解しやすくしたためのものです。直訳の匂いも多少は薄められたかと思います。また、従来の「通読版」は当面の間、検索の窓口として残しておきますが、早期に整理してゆくつもりです。
 米国の減税策により、昨今株価は順調ですが、スティグリッツ国連報告を読んでいると、富裕層にウエイトを置いた減税は、国民の所得格差を広げ、国の総需要を低下させるので、経済危機の解決につながらないだろうと言うのが見えてきます。世界経済危機の打開のためには必読の書だと思います。本の価格は類書としてはかなり低価に抑えてあります。是非、直接手にして読んでみてください。今月25日から発送が可能となります。
 尚、このページを各章への入り口としてご利用ください。
森 史朗 2010/12/11
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《スティグリッツ国連報告 目次》
序 文 真実のための戦いへの招待状
第一章 はじめに 第1-57項
第二章 マクロ経済問題と視点 第1-133項
第三章 国際的規制改革により世界経済の安定性を高める第1-235項
第四章 国際機関 第1-117項
第五章 国際金融の革新 第1-101項
第六章 結論 第1-37項
英文原典(国連ホームページ)

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スティグリッツ国連報告序文(通読版2010/12改訳)

本報告の出版を機に「通読版」を2010/12月に改訳したものです。
 序文に限らず全編を通しての変更ですが、”a public good"/"public goods"を「公益」と訳していましたが、経済学用語の「公共財」の誤りでした。
 「3.世界経済のガバナンスを担う国連総会」の第2、第3段落を訂正してあります。同じく「3.」の終わりから2段落目の「グローバル・サウス・リング」は、「グローバル・サウス」が正当で、"ring"は「響く」という動詞に訳すべきものでした。

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(序文の副題、小見出し及び目次番号は便宜的に訳者が付したものである。第一章以下の章で小見出しの頭に付した目次番号は便宜的に訳者が付したものである。)

《序文 目次》 真実のための戦いへの招待状

(1) 国連総会は、最高レベルの意志決定の場としての能力を証明した
(2) 我々の世界経済は多くの可能な経済の一つに過ぎない
(3) 世界経済のガバナンスを担う国連総会
(4) 真実のための戦いへの招待状

英文原典(国連ホームページ)

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スティグリッツ国連報告第一章、はじめに(通読版2010/12改訳)

 本報告の出版を機に「通読版」を2010/12月に改訳したものです。
 第5項の最後の文章は「途上国は」とすべきところを「先進国は」としてしまった誤訳でした。
 第29項では、「外部性」という言葉を理解しやすくしようとしたつもりですが…。
 第32項の最後の二つの文章の訳には、今でも自信がありません。
 前編を通してであるが、時に応じて「景気刺激策」「景気抑制策」と読み替えていた「反循環的政策」「順循環的政策」を、そのまま表示し、必要と思われるときに、具体的政策を訳註で示すこととしました。
 第42項の最後で、"volatility"という言葉をどう訳したかを説明しました。

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《第一章 目次》 はじめに 第1-57項 

(1) 危機:その原因、影響、そして世界的な対応の必要性 第1-15項 
(2) 危機への多様な対応
1. 機関による危機への対応 第16-21項 
2. 危機への政策対応 第22-28項 
3. 世界的な危機には世界的な対応が求められる 第29-35項 
・ 国際経済機関の改革 第36項
4. いくつかの基本的原則 第37項 
・ 市場と政府との間のバランスを回復する 第38項 
・ 透明性と説明責任の拡大 第39項 
・ 長期的展望と矛盾しない短期的行動を 第40項
・ 配分への影響を評価する 第41項 
・ 世界の不均衡と非対称性が大きくならないようにする 第42項 
・ 配分とリスクの帰着 第43項 
・ 不可逆性(履歴現象)第44項 
・ 知の多様性 第45-46項 
(3) 発展途上国への影響 第47-57項 

英文原典(国連ホームページ)

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