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2011年6月24日 (金)

G20農相会議でサルコジ大統領が、市場規制による食料安全保障を主張。日本は?

 毎日新聞(電子版)によれば、農業一次産品価格の投機的な高騰を前に、市場規制による食料安全保障をフランスのサルコジ大統領が主張したそうである。
 サルコジ大統領は、6月22日から二日間の日程でパリで初めて開催されたG20農相会議で「規制のない市場は市場ではない、食糧の安全保障を確かなものにしなければならない」と述べ、金融危機の再発防止のために各種規制を取りまとめたことを念頭に、「金融市場で達成できたことを農産物市場でもやらなければならない」と、規制の具体化を求めたという。極めて妥当な対応である。
 同会議では、50年までに世界の食料生産を70%増やすことを目標に、食料需給に関する情報収集と分析を行う「農産物市場情報システム」(AMIS)設置などをうたった閣僚宣言を採択する。ただ、農業投資の促進や農産物投機の抑制をめぐっては、具体性を欠いた合意にとどまりそうだという。農産物価格の乱高下を招く投機の抑制については、G20財務相会議に検討を求めるが、国際市場を抱える米国や英国の反発で紛糾も予想されるとのこと。
 また、米英の組と、フランス、或いはフランスとドイツの組が対抗する図を見ることになるのかも知れない。今年のG20の主宰者役を務めるサルコジ大統領が、スティグリッツとフィトゥッシの二人を共同議長とするパリグループにG20の課題について諮問していた。二人への諮問には驚かされたが、最近の米国での金融規制の繰延、今回の農相会議等を見ていると、同グループが提言で述べていたように、2008-2009年に見られたG20の結束感が消え去り、経済政策の再国家主義化(renationalization仮訳)が始まっていると記した事には十分な理由があるのだと確認させられた。「提言」を読みたい方は、後で下記をクリック!

(→ G20と景気回復、そしてその先…21世紀のグローバル・ガバナンスへの課題

 さて、ここで問題となるのが日本の立場である。食料の安全保障の再構築という課題に直面している我が国にとってサルコジ大統領の主張は渡りに船のはずだが、自民・民主共に英米連合乗りのようである。
 TPP(環太平洋経済連携協定)は、日本農業の大規模経営化と農産物の貿易の自由化を図るものである。途上国からの輸入拡大を進めることは必要だが、日本の食料安全保障を崩壊させてまでして米国等の食糧大国に100%市場を開くことはない。ましてや、大震災の被害の中心となった東日本が農村部を抱えていることを勘案するとTPP加盟は日本の経済復興を妨げるものとなるのは必至である。

 日本代表は、篠原孝副農相が出席する。氏が農林省勤務時代に駐在し欧州農業政策の第一人者になったところがフランスである。篠原氏は自身のブログでTPP加盟に反対する論陣を張っている気骨のある議員である。今回は自身の考えには箝口令が敷かれ、収束の見込みの立たない原発問題に付いて作物の安全性を説明するというむづかしい役回りを果たさなければならない。役目とは言え、どうせやるなら自身の思い通りやらして欲しいものであると思っているのではないだろうか。

森 史朗 2011/06/24 

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