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2010年9月27日 (月)

市原悦子さんの戦争童話朗読に涙しました…光が丘9条の会2009/09/26

 このブログでもご案内した光が丘9条の会の催し「心に刻む平和の語り」(会場:練馬文化センター)に参加してきました。そこで市原悦子さんの戦争童話朗読を聴き、涙を抑えられませんでした。社会問題を客観的に議論することも有益ですが、今回は文学の力、演技の力を改めて確認しました。
市原悦子さんは「まんが日本昔話」のナレ-ションや、テレビ放送でも定評のある女優さんですが、昨日の朗読でも聴衆を物語の中に引き込み共感をもたらしていました。

 朗読したお話は2作。最初の作品が、野坂昭如作「キクちゃんとオオカミ」。舞台はソ連参戦後の満州。キクと二人の兄は母親と一緒に日本に逃げ帰ろうとしています。ところがキクは伝染性の病気に罹ってしまい、草原に置いていかれてしまいます。日本人の一行を餌にと追っていた年老いた一匹オオカミは、自分をかつての飼い犬と思いこみ依ってくるキクを殺せず、逆に病気のキクの面倒をみることになります。二人は日本人を追いますが、ある日人間達に出会うと、…?
 戦争は、母親にキクちゃんを一人置いていくことを強います。オオカミは捨てられた子を救おうとします。寓話ではありますが、恐ろしいオオカミと比べても比べものにならない人間の恐ろしさ、それが端的に示される戦争が聴く人それぞれにイメージされます。

 もう一作は、あまんきみこ作、「ちいちゃんのかげおくり」。「かげおくり」は、影法師をじっと見つめて10数え、数え終えたらすぐ空を見上げると影がそっくり空に映って見えるという遊びです。お父さんが出征する前の日、お墓参りの帰り道、ちいちゃんの家族4人は「かげおくり」をしました。影法師は、記念写真のように空に映りました。体の弱いお父さんを戦争に送り、家族3人の暮らしが始まったある日のこと、ちいちゃん一家は空襲に会います。空襲で焼け出されたちいちゃんは一人ぼっち。空腹に絶え、生きながらえようとしますが…?
 空襲の中を逃げまどう人々の描写が、そして空襲の後、居場所を失った子供のどうしようもない状況が、悲痛な迫力をもって迫ってきました。
 なぜ戦争などというものを人間は起こすのでしょう。「平和を保つための戦争」。「抑止力論」ともいわれますが、それらがもたらすものは、本物の戦争でしかありません。そして「平和」はしばしば「豊かさ」をその中に含んでいます。「豊かさを保つための戦争」が許されるはずがありません。

 武器は人の理性を狂わせます。報道カメラマンの石川文洋さんはかつてこう語っていました。「戦争は殺人です。戦争の中で理性を保つのは不可能。戦場や監獄での非人道的行為が問題となっていますが、私自身も兵隊になれば殺人や虐待をすると思っています。人間の残酷な本性は相手を人間と思わなくなるところに出てきます。そこには憎悪を増長させる差別観がある。だからそういう状況に陥らないためにはどうするのか。私は防衛のためのものも含めて軍隊を持たないことだと思っています。そのためにも、戦争の総括と共に、戦争の残酷さを知ることが必要だと思います。」改めて噛みしめたい言葉だと思います。

森 史朗 2010/09/27

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